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2012年11月17日|脱臼
10月22日に左肩鎖関節脱臼で来院された68歳の男性の患者さんが今日で、約4週間の固定期間となり装具と鎖骨ベルトの固定を除去した。
診察して頂いた整形外科の先生の見解ではTossyのⅢ度損傷であったが、固定を除去し、左右の肩鎖関節を比べても遜色はなく、整復位は保たれており左鎖骨外端の突出はほぼ消退した。両側の鎖骨外端には神輿による肥厚があったので、かえって右の肩鎖関節の方が脱臼をしているようにも見えるようになった。
肩鎖関節脱臼にはTossyの分類というのが有り、靱帯の損傷の度合いによって、Ⅰ、Ⅱ度は保存療法、Ⅲ度は手術療法になる事が多く、保存療法の場合には固定の維持がとても難しい脱臼である。
ちなみに、TossyのⅠ度損傷程度で有れば、固定をせずともほとんど後遺症が残らずにスポーツが可能である。私は学生時代に柔道で左右の肩鎖関節にⅠ度程度の脱臼を負ったが、あまり治療をした記憶も無く、症状は残っていない。
また、TossyのⅢ度損傷であれば、固定をしても靱帯の癒合は得られず観血療法適応であるが、この患者さんの場合はTossyのⅡ度損傷であったのではないかと思われる。
患者さんには長期間の固定に辛抱強く我慢して頂き、治療に快くご協力下さいました事を心より感謝致しております。
あとは、暫く左肩関節を固定していた為に、筋力と柔軟性の低下が生じておりますから、リハビリをしていきますので、もう少し通院して下さいますよう宜しくお願い致します。
2012年11月12日|アキレス腱断裂
9月10日(月)に当院の左アキレス腱断裂の保存療法のブログを読まれて、来院された40代の男性の方が、来院されてから8週間を経過したので、シーネとサポーターの簡易固定とした。入浴も可能になり、自宅や会社では固定をはずして、素足で歩いて頂けるようになった。
固定を除去した際は、背屈に制限が見られたが、数日で左右同じになってしまい、患者さんも私も回復の早さに驚いた。
固定は除去したが、念のため再断裂を予防するために通勤時や外出時はもう暫く簡易固定をして頂く事にして、再断裂の危険な約3ヶ月間は階段の踏み外しや急坂での荷重動作に注意して生活して頂くよう患者さんにはお願いしている。
また、これからは平坦な公園等をリハビリでどんどん歩いて下さると低下した筋力が早く回復しますと伝えた。
癒合したアキレス腱部は結合した組織が肥厚(太くなった状態)しておりますが、これは時間と共に徐々に細くなっていきますので、心配は無用です。あとは、アキレス腱部の張り感の消失と筋力が回復して、元通りに歩けるようになれば、治療は終了になります。
長期間の固定お疲れさまでした。ゴールまであともう少しです。
2012年11月10日|脱臼
11月10日(土)午前中に近隣の中学校の養護教諭の先生から電話で「中学2年生の女子が体育で指を脱臼した様子で診て欲しい」との連絡が入り、患者さんを待っていると15分程で祖母に付き添われ来院された。
負傷の原因は体育の授業でランニングをしていて、走るペースを上げた際前方の人に右手が接触してしまった時に小指を脱臼したとのこと。患者さんの右手を拝見すると右手の第5指のMP関節が90度でロックされ伸展が困難であった。
非常に珍しい「右手第5指MP関節掌側脱臼」である。
私は、以前同じ疾患を急患で2度見た事があり、すぐに健側の左手第5指MP関節の可動域を確認した。するとMP関節は最大屈曲75度が限界であった。一般的にはグーをするとMP関節は90度まで屈曲が可能である。
以前急患で2度来院された方は、20代の看護師さんで、1度目はベッドから起きようとして、右手を握った状態で着いてしまい負傷され、休日に連絡を頂き急患で拝見した。整復は案外容易で治療して1ヵ月程で治癒された。
2度目は、ご友人とボーリングをされていて、ストライクを取った後にハイタッチを小指が曲がった状態でしてしまい負傷され、夜の10時頃に連絡を頂き時間外の急患で拝見した。
この患者さんの左右の第5指MP関節部の可動域が最大屈曲80度が限界であった。私の場合は第5指MP関節は最大100度以上屈曲が可能である。MP関節脱臼と言えば背側脱臼が殆どで有るが、このMP関節の柔軟性の違いから生じる特殊な右手第5指MP関節掌側脱臼であった。
患者さんには以前同じ症例が有った事を伝えて、デジカメで記録しておいた患者さんの画像をお見せした。全く同じ状態でロックされている右手第5指MP関節部を見て大変驚かれていた。
前回はかなり容易に整復されたのだが、今回は脱臼のロック(弾発性抵抗)が強く整復に難渋したが、何とか整復されアイシング後固定を施行した。1週間後にバトン部の発表会が有るとのことだが、それまでに完治は難しいので次回頑張るということで、今回は見学されることになった。
整復動作で痛い思いをさせてしまいすみませんでした。 1ヵ月ぐらいで完治して、またバトンが出来るので安心して下さい。
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2012年11月08日|腰痛
11月4日日曜日から御主人と屋久島に2泊3日で旅行に行かれた50代の女性の腰痛で通院中の患者さんが、無事旅行を終えて来院された。
2週間前のギックリ腰症状の時には、ご主人の方がキャンセルをほぼ決めかけていたそうだが、旅行先では予約していたガイド付きのトレッキングも出来たそうである。
ご旅行前にキャンセル料が旅行代金の約半分も掛かってしまうとお聞きしていて、それは本当にもったいないので、何としても患者さんには旅行に行って欲しかった。
患者さんの話では、旅行前にポールウォーキングに使うストックを買いに行かれて、それをトレッキングの時に使用したら、とても楽に山道を歩けたそうである。屋久島で有名な樹齢数千年の縄文杉の前で撮られたご夫婦の写真を拝見する事が出来て、本当に良かったなと心から嬉しく思った。
この患者さんは、かなり以前になるが、とても重症の急性腰痛(ぎっくり腰)で往診したことがあり、それ以来、私が勧めたウォーキングとストレッチを敢行して暫くの間は、腰痛とは無縁だったそうである。しかし、今回は長時間のハイキングや買い物等が続き、疲れも溜まっていらして腰痛を発症したようだ。
急性腰痛はあまり安静にはせず、むしろ動ける範囲で日頃と変わらぬ日常生活を送った方が治癒が早いと言われている。腰痛になると不安になられる方が多いが、「必ず治るもの」と楽観的に考えて過ごされる事も重要な要素である。
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2012年11月07日|脱臼
10月22日に68歳の男性が左肩鎖関節脱臼で来院された。
負傷の原因は、少しお酒に酔っていて、歩行中に階段の下りで躓いてしまい左肩から転倒されたとのことだった。
負傷されたのは10月14日で、翌日には近隣の整形外科を受診されたが、鎖骨ベルトを緩く巻かれただけで痛みも引かない為、神輿仲間のご友人に当院を紹介されて来院された。
患部を拝見すると左肩鎖関節にはかなりの突出が見られ、ピアノキー症状も触知が出来た。しかし、両側の鎖骨外端には神輿による肥厚があり、一見すると両方の肩鎖関節に脱臼が有るように見えた。
肩鎖関節脱臼にはTossyの分類というのが有り、靱帯の損傷の度合いによって、Ⅰ、Ⅱ度は保存療法、Ⅲ度は手術療法になる事が多く、保存療法の場合には固定の維持がとても難しい脱臼である。この患者さんはTossyⅡ度のタイプであると判断して固定を施した。
当院では日本柔道整復接骨医学会の固定法分科会で考案された装具を独自に作成し、鎖骨骨折や肩鎖関節脱臼に使用して良好な結果を得ている。肩鎖関節脱臼の固定は鎖骨外端を上方から押し下げるだけでなく、上肢・肩甲帯をいかに上方に押し上げた状態を保てるかが重要である。
翌日、装具と鎖骨バンドによる固定を施行した状態で、いつもお世話になっている総合病院の整形外科の先生に診察を依頼し、X線検査上はTossyⅢタイプとも思えるようだが、このままの固定を維持するよう保存療法での継続加療のご指示を得られた。
現在、固定後もうすぐ3週間になるが、左肩鎖関節脱臼の段差が減少し経過も良好である。申し訳ございませんが、あと1週間ちょっとの間だけ、固定を辛抱して下さい。
患者さんには来シーズンも神輿を担いで頂けるように、しっかり治しておきましょうとお伝えしている。
2012年11月03日|打撲
11月3日土曜日は祝日の為、休診であったが、朝の9時に明日から御主人と屋久島に2泊3日で旅行に行かれる50代の女性の腰痛の治療を約束していた。
向こうではトレッキングも予約されており、「調子が良ければ無理をせずにやってみましょう」と伝えて、無理そうならばトレッキングには御主人のみ参加して、奥さまはホテルで待っておられるとのことだった。
先週来院された時にはやや軽度のぎっくり腰症状のため、キャンセルを考えられていた。取りあえずギリギリまで様子を見てから、キャンセル料が少ない段階でキャンセルしようと思われていたが、徐々に楽になられていき屋久島に行くことを2日前に決心された。
飛行機の搭乗時間も短かく、旅行先では温泉にも入れるとの事だったので、大丈夫なのではと思い、私から背中を押す形で旅行に行くことにされた。旅行先で腰痛が出ず、無事に帰られるのを心から祈るばかりである。
さて、今日は午後1時から、ひかり回線の接続工事があり業者の方が4時ごろまで接骨院に居られたので、交通事故と労災の書類の整理をしていた。夕方には妹が右足関節捻挫の治療に来て、超音波バス後、包帯とシーネ固定をした。
何だかんだで7時を過ぎ、家族で夕飯を食べていると、接骨院の電話が鳴り、「中学2年の娘が左手の甲に野球でデッドボールを受けて明日の朝にでも診て欲しいのですが」とお父様からの電話であった。「腫れているようなら固定することが大事なので今から来院して下さい」と伝えて、お互い食事中だったので、1時間後に来院して頂くことになった。
午後8時半頃にインターホンが鳴り治療室に行くと、以前にも来院した事のある娘さんが、お父さんと一緒に来院された。この娘さんは、私立中学の硬式女子野球部に所属していて、今日は午前中に紅白試合があり、11時頃にデッドボールを左手甲の第4,5中手骨部に受け、左手は握れたので12時まで試合を続け、30分程アイシングをした後、筋トレやミーティング等をしているうちに、夕方には左手が握れなくなってしまったようだ。
⇒(傷病名)左中手部打撲
患部にはかなりの腫脹があり、硬式ボールが当たった第4指のMP関節部分には内出血と傷があり、第3~5指が把握困難であった。第4指には軽度の軸圧痛が見られたものの、受傷から時間の経過と共に腫脹が増して把握困難になったもので、骨膜レベルの損傷は有ると思われるが、固定を2日間して月曜日の症状でレントゲン検査等の判断をする旨を伝えて、アイシング後シーネ固定を施した。
部活は先輩や顧問の先生の手前、痛くても我慢したり、無理をして怪我が重症化することも有りますので、痛ければ早めに患部のアイシングと高挙と適度な圧迫をしていただき、電話で連絡を下されば時間外でも対応致します。
もしも、外出中であれば、応急処置を指示しますので、自宅で待機して頂き時間を約束してから来院して頂く事も可能です。
左手甲(中手骨部)に硬式球でデットボールを受け来院の続きを読む
2012年11月02日|アキレス腱断裂
9月10日(月)に当院の左アキレス腱断裂の保存療法のブログを読まれて、来院された40代の男性の方が、10月31日(火)朝に関西の出張を終えて来院され、7週間を経過して、アキレス腱の癒合も充分に確認出来たので踵の高さを低くした。
通常なら部分断裂ならば、もうとっくに踵の高さを低くしているのだが、受傷後、1週間以上の間、急な坂道や階段を徒歩で通勤されている間に、受傷直後よりも部分断裂部の離開が二次的に進んでしまい癒合を遅らせていたため、完全断裂と同様の固定期間となってしまった。
11月2日(金)にはトンプソンテストにしっかり反応し、足関節90度で癒合したアキレス腱部に張り感もなく状態が良い為、踵の高さを1センチ程にした。週明けの11月5日(月)には装具固定を除去し、足関節90度での固定とする予定である。
初めてアキレス腱を断裂された方は痛みも少なく、取り敢えず歩けるので、足首の捻挫だろうと思い様子を見られて受診が遅れる事が多々あります。アキレス腱の部分断裂では完全断裂よりも歩けますし、痛みも捻挫の時のように強くはありません。腓腹筋の断裂(肉離れ)も痛みが強いのが特徴。
(⇒ただ、腓腹筋の断裂はアキレス腱断裂よりも断裂部を触知し難い。)
しかし、左右のアキレス腱部を手でそっと縦方向に触れてみて頂ければ、素人の方でも患側にはアキレス腱が陥没していて触れられない場所が触知出来ます。左右のアキレス腱を比べて触れてみれば必ず解ります。
もし、各種スポーツや、階段の踏み外し等でアキレス腱に違和感を覚えて歩くときにつま先が「ペッタンペッタン」と下がってしまう現象が見られたら、アキレス腱の断裂が疑われますので、ご自分で患部にそっと触れて確かめて頂き、早めの受診をお勧めします。
2012年10月21日|脱臼
8月2日(木)に当院に来院され、総合病院の整形外科にご紹介した左肩関節(習慣性)脱臼の患者さんが10月17日(水)に内視鏡による手術をされて、現在入院中である。
今日の夕方に経過も知りたかったので、お見舞いに伺ったところ、手術日から10日後に抜糸予定で、おおよそ2週間程で退院出来る見込みと担当医の先生から説明を受けられたそうである。
平成23年2月1日、平成23年12月18日、平成24年8月2日と約1年半の間に3回と脱臼の頻度も高く、お痛みも辛そうだったため、患者さんと相談の上、私が手術を勧めて受診して頂くことにしたので、患者さんから、「決心して手術をして良かったです」と今日言って頂き正直にとても嬉しく思った。
患者さんの話では、MRI検査上は骨傷は無く、関節を構成する軟部組織に関しては、約9回の脱臼によりかなり傷んでいたようで、整形外科部長の先生が手術を執刀して下さったそうである。今日は日曜日にもかかわらず朝から先生が様子を見に来てくれたそうで、とても喜んでおられた。
これから、数ヶ月間に及ぶリハビリが続きますので、完治までリハビリ頑張って下さい。
2012年10月06日|足関節捻挫
土曜日の午後に仕事を終え、遅い昼食を食べ終わりテレビを観ながらお茶を飲んでいると、接骨院の電話が鳴った。
受話器を取ると、以前当院に通われたことのある患者さんのお母さんで、7歳の娘さんが塀から誤って落下し、右足を痛がっているとの事。自転車ですぐに来られるとのことで、4階の自宅から1階の治療室に降りて待っていた。
ほんの数分で、患者さんは治療室の前まで来られて、お母さんが大泣きの娘さんを自転車の後部座席から降ろしたところ、娘さんは右足は地面に着くことが出来ず、私が両手を持って左足だけでけんけんして待合室に入ってもらい直接治療室の椅子に座ってもらった。
右足を診ると外くるぶしがかなり腫れており、足関節の底・背屈が困難であった。左膝にはバンドエイドが貼られており、剥がすとそこそこ深い裂創があった。お母さんと娘さんに話を聞くと、朝7時に外で遊んでいて、1m程の塀から台に飛び移ろうとして失敗し、右足は着地で捻り、左膝は転んだ際に岩にぶつけてしまい負傷したそうだ。
妹さんの幼稚園の運動会でばたばたしていたため、それが終わってから来院されたそうで、今が4時なので、負傷後9時間が経過している。その間、患部のアイシングもされなかったようなので、腫れも、痛みも時間と共に強くなり、我慢も限界に来ていたのだろう。
可哀想に来てからずぅーと泣き止む様子はない。左膝の裂創はガーゼを水で浸し、創傷部を充分に洗ってからワセリンを塗り大きめのケアリーブを貼った。
⇒(浸潤療法)
右足関節は、内・外側副靱帯損傷で、特に外側の前距腓靱帯損傷が強く、整復後、アイシングを長めにしてシーネで固定包帯処置を施行した。
帰りには、足が着けるようにはなったが炎症症状も強く、荷重歩行が困難なため、来た時と同様に自転車の後部座席に乗って泣く泣く帰って行かれた。習い事のスイミングが出来なくなってしまう事を気にされていたが、足首の捻挫(靱帯損傷)ではしっかり治さないと、習慣性になることも有るので、一定期間の固定処置、治療、リハビリが大切です。
まだ2年生なのであまり心配はいりませんが、1ヵ月程度の治療は必要になるので、スイミングや体育が早く出来るように治療していきましょう。
土曜日の午後の急患の患者さん(右足関節捻挫、左膝の裂創)の続きを読む
2012年09月29日|アキレス腱断裂
4月25日に右アキレス腱断裂をされた40代の女性で、ギプスと装具の固定が長期に渡り(約11週)足関節に運動制限が著明に出てしまった後、当院にリハビリで通われた方が9月29日で完治した。
(受傷から158日、約5ヵ月)
先月は、起床後のアキレス腱部の張り感を訴えられていたが、それも無くなり足関節の関節可動域も健側と同じになり、歩行もスムーズになられた。7月14日に来院されて約2ヵ月半の治療期間であったが、順調に回復されたと思う。
この方は、パートで幼稚園にお勤めであったが、子どもたちと園庭で走りまわることも可能になり、受傷の原因であるテニスもいつかは再開されることだろう。再受傷にはくれぐれも注意されて、ある程度の期間はジョギング等で筋力強化に努めてから、テニスは再開して下さい。
準備運動、ストレッチは必ず実行して下さい。
そして、整理運動(クールダウン)が一番大切ですのでお忘れなく。
アキレス腱断裂の保存療法後のリハビリの患者さんが完治の続きを読む