HOME > スタッフブログ > 骨折 > 右肩関節脱臼骨折の患者さんが来院
2012年09月20日|骨折
9月20日の午前中の9時頃に、今朝の5時に寝室の枕につまずき右側に転倒して、右上腕骨頸部骨折をした80代の女性が来院した。
この患者さんは、平成15年にも右手首の橈骨下端部骨折を当院で加療しており、右上腕骨頸部には高度の腫脹が認められ、自発痛は強くなかったが、右上肢は全く挙上が困難で、右肘関節の屈曲さえも困難であった。
すぐに、骨折の同意をお願いしているクリニックに診察を依頼したところ、レントゲン検査上、右上腕骨骨折及び、右肩関節脱臼の診断であった。上腕骨頸部の骨折部は陥入しており、その為に自発痛がやや軽度であったことがうかがわれた。
上腕骨頸部骨折に肩関節脱臼が合併している場合、整復が困難である事が多く、手術になるケースも多い為、翌日総合病院の整形外科に診察を依頼した。診察の結果、高齢で心臓疾患も有る為、手術はせずに保存療法で、経過観察をすることになった。つまり、脱臼は整復せずに、骨折部の癒合を待ち、偽関節での機能回復を図ることになったのである。
しかし、上腕骨頸部は綺麗に陥入しており脱臼は有るものの安定していた為、肩関節の機能回復の為、早期から前後の振り子運動を開始した。固定も徐々に外していき、振り子運動の回数も30回から徐々に100回まで増やしていったところ、肩関節の可動域が改善し、一ヶ月ほどで、食事や洗髪等の動作などが可能となった。
4週後の再診時には骨癒合も良好であったようで、骨密度の低下が認められる為、1ヶ月後にもう1度再診して頂くことになった。早期からの運動療法により、脱臼した上腕骨頭も肩甲骨の関節窩に近づいてやや亜脱臼位ではあるが、自然整復されていったようである。
患者さんはとても細身の方で高齢でもありますが、人間の自然治癒力にとても驚かされた症例で有ります。このまま経過が良ければ、日本舞踊のご趣味も再開出来るかもしれませんね。