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2012年12月10日|マレットフィンガー
今日、出先で母からのメールでマレットフィンガー〇〇さん090-〇〇~と連絡が有り、急患の連絡と思い電話をすると37才の女性で、バスケットボールのプレー中に突き指をしてしまい、骨性マレットフィンガーの診断を近くの整形外科で受けられ、手術を勧められて近隣の済生会病院に紹介されて、受診した際に保存療法を希望されたため、元の整形外科に戻されたとのこと。
紹介先の整形外科では、手術をしないと変形が残るし後遺症で痛みも残ることがあると、説明をされたようで相当悩んでおられるご様子だった。後日、元の整形外科に行くと、アルフェンスの固定を自分でテーピング交換するよう指示され、次回の再診は2週間後と言われてしまったそうだ。
保存療法を患者さんが望まれて、手術はしないことになったのなら、保存療法の治療でベストな状態を考えて欲しいのに、医師から「私の言う事を聞かないのなら、変形が残っても仕方ないですよ」と、突き放されてしまったような状況で可哀想に思ったので、「済生会病院は南部病院ですか、東部病院ですか」とお聞きすると「済生会病院です」と答えられた。
はてな?「お住まいはどこですか」と聞くと「香川県です」と答えられ、ちょっとびっくりしてしまったのですが、インターネットは凄いなと感心しつつ、どうにか良い結果になるよう患者さんと相談しながら、色々と現状をお聞きしてアドバイスをさせて頂いた。
受傷されたのは11月29日で、連絡を頂いたのは12月9日だったからもう11日が経過しているため、もう一度紹介先の済生会病院にお願いして手術をされるか、多少第1関節が曲がってしまっても屈曲する力や屈曲制限は残らないので、見た目が気にならないのであれば、保存療法でも問題は無いと思われる旨を説明した。
ただ、2週間に1度の通院で、自分でテーピング固定を巻き直すのは、巻き直す度に骨片に動揺を加えてしまうので、もう少し間隔を開けずに通えて、固定の状態をコントロールしてくれる接骨院が近くに有れば保存療法ならその方が良いと思うと伝え電話を切った。
翌日の12月10日(月)午後の空いた時間にどうしてもその患者さんが気になり電話を掛けてみたところ出られなかったが、着信に気づいて折り返し電話を下さった。
どうされたか聞くと病院には行かず、近所の接骨院の何件かに電話されたそうだが、治療をして下さるところは見つからず、手術をした方が良いと言われることが多かったそうだ。
こうなったら、患者さん自身がやるしかないので、ご自分でアルフェンスを外してテーピングを交換する際には、反対の手で第1関節を伸ばした状態を保って、ご主人に手伝ってもらいながら、決して第1関節が曲がらないように御主人にアルフェンスを当ててもらい、テーピングも上手く巻いてもらえれば何とかなるのではないか、また、頻繁にテーピングの巻き直しはしないようアドバイスした。
イメージとしては下記の写真のように第1関節を少しだけ曲げて固定した方が、骨片が安定して骨癒合し易い。
骨性マレットフィンガーの場合は約4~6週の固定期間を必要とする。また、骨癒合後は、固定により生じた関節の動きの制限を超音波バスなどの温熱治療で治療する。
第1関節(DIP関節)は第2関節(PIP関節)より拘縮が起き難く、リハビリで回復が見込まれる。ただ、骨片が癒合しない場合(偽関節)が稀に有るため、定期的なレントゲン検査等が必要である。
固定後の症状にもよるが、リハビリには固定期間以上かかる場合が多い。しかし、伸展制限が多少残ったとしても、屈曲制限はリハビリでほとんど改善されることが多い。患者さんが出来るだけ良く治られる事を遠くから祈っている。