HOME > スタッフブログ > 骨折 > 5才の左鎖骨骨折の女の子が来院
2013年01月09日|骨折
12月3日(月)に40代男性の左鎖骨骨折の患者さんが完治されたが、12月13日(木)に保育園でバランスを崩して左側に転倒して、左腕を全く使わなくなってしまった5才の女の子が翌日の14日(金)に来院した。
上腕骨には触診上、腫脹も痛みもないので、鎖骨骨折ではと思いシャツを少しめくると屈曲変形と限局性圧痛を認める左鎖骨骨折であった。付き添って来られたお母さんに「鎖骨骨折ですね」と伝えると少し驚かれた様子だったが、左右の鎖骨を比べて見てもらい、そっと触れて頂いた。
「あっ本当ですね」と納得され、骨折の同意をお願いしているクリニックに診察を依頼し、レントゲン上、5才の子供さんには珍しいかなりの屈曲変形を呈した左鎖骨骨折であった。痛みも強く左手を全く使えない状態なので、鎖骨バンドで固定することにした。丁度良いサイズの鎖骨バンドがあり、胸郭を拡大させて固定した。
鎖骨バンドで固定すると、ある程度自然整復されたため痛みも大分軽減したようで、ニコニコと笑顔になりお母さんも安心されたご様子だった。
翌日はお父さんが付き添って来院された。娘さんの様子をお聞きすると昨日はあまり痛みも訴えずに良く眠れた様子。鎖骨の状態を触診すると屈曲変形が自然整復されてフラットな状態になっていた。
昨日のお母さんと同様にお父さんにも鎖骨の骨折部をそっと触れて頂いた。昨日はかなり曲がって骨折部が飛び出ていたが、今は整復されて真っ直ぐになっている為、痛みも無くなっている状態で有る事をご説明した。
翌々日、お母さんに付き添われて5才の女の子が来院すると、2日前と様子が変わっていた。お母さんにお聞きすると、痛みが全く無くなった為、部屋の中をお姉ちゃんと走り周っていたらお姉ちゃんと左肩が当たってしまい、鎖骨がまた痛みだしてしまったとのこと。
左鎖骨に触れると、初診の時ほどの転位は無いが、翌日のフラットな状態から再転位していた。再整復し、鎖骨バンドを調節した後、痛みが引いてしまうと子供さんの心理から遊びたくなるのは仕方がないことだが、出来る限りの安静をお願いした。
それから、5日程で自発痛は消え、仮骨形成も触知が出来た。成長期の子供さんの骨折の仮骨形成は驚くべき早さで、成人に比べれば骨癒合もかなり早い。そのため固定期間も短くて済む。小さな子供さんの自然治癒能力は素晴らしく、骨折部がずれてついたりして曲がっていても自家矯正されて、真っ直ぐになってしまう。
年末年始はご両親で鎖骨バンドを取り外して頂き、入浴も許可した。年始の1月9日に来院されて、仮骨形成も充分触知出来、受傷から4週間を経過したので、鎖骨バンドを除去し経過観察とした。
1月31日に保育園の学芸会があると聞いていたので、それに間に合って本当に良かったですね。