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マレットフィンガー

最近来院された腱性マレットフィンガーの患者さんの2症例の経過

2015年05月15日|マレットフィンガー

 先週の5月8日に腱性マレットフィンガーの女性が静岡から来院下さいました。アルフェンスシーネを第二関節(PIP関節)屈曲位、第一関節(DIP関節)過伸展位で伸縮性テーピングを使って固定されていたようなのですが、来院時はその固定が完全に前方へずれていて、第一関節(DIP関節)が屈曲位になっておりました。

 

☞本来、腱性マレットフィンガーの固定では第二関節(PIP関節)屈曲位、第一関節(DIP関節)過伸展位を約2週間するのが理想です。しかし、固定を維持するのがとても難しく、患者さんも日常生活上使い辛くて好まれない傾向です。当院では第一関節(DIP関節)のみをやや過伸展位で固定しております。】

 

患者さんからこれまでの経過をお聞きすると受傷後すぐの4月末から近隣の整形外科に行かれ、3回通院されたそうなのですが、はじめから固定がきつかったそうです。最後の5月7日に医師がアルフェンスシーネを伸縮性テーピングで固定した際にいつも以上に圧迫されてきつく感じ、その上から看護師さんに仕上げにもう1周伸縮性テーピングをされ、看護師さんから「きつくはないですか」と聞かれたので「少しきついです」と患者さんが答えると「少しきつくないとずれてダメなんですよ」と言われて固定を終えて帰宅されたそうです。すると段々と指先の感覚が無くなってきて痛みも伴っててしまい、眠れないので伸縮性テーピングを緩めて巻き直されたとのこと。

来院時も小指にあまり感覚がないと言われ感覚鈍麻が残っておりました。また伸縮性テーピングの圧迫で褥瘡のような水包形成も出来てしまい、とてもお気の毒な状態でした。

水包を破らずにケアリーブで保護して、プラスチックシーネを患者さんの小指に合うように形成し、第一関節(DIP関節)のみをやや過伸展位にて固定を致しました。

5月14日に来院下さり幸い指先の感覚は戻り水泡も良くなっておりました。

☞下記の写真参照。

 

DSC03365.JPG

 

DSC03366.JPG

 

利き手でとても不自由かとは思いますが、痛みも感覚麻痺も無くなり良かったです。皮膚管理も含めて対応しますのでお大事になさって下さい。

 

また、患者さんからリクエストを頂いたので、4月28日より東京からお越しの左手第3指の腱性マレットフィンガーの男性患者さんについて、経過報告を致します。受傷日は3月28日で受傷から2日後に整形外科を受診され装具をされていたのですが、身長が188センチあり指も長く、装具が短くて指に合ってはおらず固定が不安定な状態でした。職業は音楽制作業でギターを弾かれるため、とてもお困りで来院されました。

私も中学2年生からアコースティックギターを弾いていたこともあり(今は全く弾いてはおりませんが)他人事とは思えませんでした。担当医の説明が不十分でちゃんと固定を始められたのは4月4日とのことで、受傷後すぐには固定をしたまま他の指で少しギター演奏をされていたそうです。

お仕事でギターを演奏されるとなると私も責任が重大であると感じながら、ある程度充分な固定を始められた4月4日からの6~8週間を終日の固定期間と設定しました。

5月15日来院時でちょうど6週間となり、固定を外しても第一関節(DIP関節)の伸展の状態がキープ出来ました。☞下記の写真参照

 

DSC03368.JPG

 

今日からは固定を外して入浴をして頂き、少しずつ屈伸の機能訓練をして頂きます。また、少しずつ昼間にシーネ固定を外して伸縮性テーピング固定としていき、伸展力がつくまでは夜間固定を継続して頂きます。経過は宜しいと思います。

お大事になさって下さい。

 

 

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