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踵骨骨端症(シェーバー病)

踵骨骨端症(シェーバー病)の中学生が来院

2015年12月25日|踵骨骨端症(シェーバー病)

ソフトテニス部の中学生男子が左踵の痛みを訴えて来院されました。左踵の骨端線部に荷重時痛と圧痛を認め、一定期間の安静を促し、アイシングと固定処置を施行しました。

 

☞踵骨骨端症(シェーバー病)

 

そして、次回の来院時にテニスシューズを持参するように伝えました。

下記の写真が持参されたテニスシューズとインソールです。

 

 DSC04143.JPG

 

DSC04140.JPG

 

 

上記の写真から、このテニスシューズは24.5㎝で捨て寸が約1.5㎝のため、適切なサイズです。24.5㎝のテニスシューズに対して足の実寸は23㎝なので、23㎝+1.5㎝=24.5㎝になります。

 

 

DSC04142.JPG

 

しかし、上記の写真を見ますと、足の趾先の跡が先端にあるのがお解り頂けると思います。「これは何を意味していると思う?」と少し意地悪な質問を中学生にしてみましたが答えられませんでした。

答えは簡単です。靴の紐を結ぶのが面倒なのでシューズの紐を緩くしていて、テニスプレー前に靴を履く時も、テニスプレー後に靴を脱ぐ時も靴紐はそのままなのです。そのため、テニスのプレー中に靴の中で足が前方へ移動してしまい足先に跡が残っているのです。シューズの紐をしっかりと絞めていれば、足先の趾の跡はシューズの先端よりも手前に出来るのが通常です。

これではテニスのプレー中、常にシューズの中で足が前後、左右に移動してしまい、踵への摩擦が増して炎症が起き易くなります。また、ストップターンの際には足首の内返し捻挫をし易くもなります。

 

踵骨骨端症(シェーバー病)とは、小学校の高学年から中学生の活動的な思春期の男子に多く見られる疼痛性の疾患です。

成長期の子供さんには、骨端線(成長線)と言われる軟骨組織が有ります。成人すれば閉じて無くなるのですが、骨端線部は組織としては弱く脆いため、強い衝撃(バスケットボール、バレーボール、テニス、剣道、走り高跳び等のスポーツでのダッシュやストップターン、跳躍の反復動作)に耐えられず炎症を起こし易いのです。しかし、骨端線が成長により閉じる高校生頃になってしまえばこの疾患は起きなくなります。

 

 

【踵の衝撃を減らすためには以下のことが重要です】

 

①適切なサイズの靴を選ぶ(捨て寸が約1.5㎝)

  ☞靴からインソールを取り出し、踵を基準にして足を合わせて立ってみると

   解り易い。必ず履いて歩いてみる事が大切。

 

②足の形状・足底アーチに合った、クッション性に優れたインソールの靴を選ぶ。

  

③靴の踵部分に足を合わせて、靴紐を足先からしっかりと絞めて結ぶ。

  ☞靴の中で足が前後に移動しないように履く。

 

④靴の底の踵部分が減ったら早めに新しい靴に買い換える。

 

⑤厚手の靴下を履く。

 

  などです。

 

 

痛みが出たら無理をせず、ダッシュやジャンプ等の動作の練習を控えて、症状の軽減に伴って、徐々に練習量を増やしていくことが大切です。

踵骨骨端症(シェーバー病)は、発症の初期に適切な処置と安静にさえすれば、短期間で治る疾患です。当院では縦アーチのサポートをテーピング等で行いますが、重症な場合には包帯固定やスポーツタイプのインソールを取り寄せて、インソールを交換することもあります。

 

練習は別メニューで行うようにして、体力を落とさないようにします。部活を完全に休まなくても大丈夫です。

上記の患者さんは靴紐を足先からしっかりと絞めるように注意して、物理療法とテーピング固定で少しずつ練習量を増やしていき完治しました。

 

踵骨骨端症(シェーバー病)でお困りの場合には遠慮なくご相談ください。

 

 

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