HOME > スタッフブログ > マレットフィンガー > 30代男性の腱性マレットフィンガーの患者さんの経過
2017年11月11日|マレットフィンガー
10月24日から30代の男性が右手第5指の腱性マレットフィンガーで通院されております。
受傷日は10月7日で手袋をはめるときに小指が引っ掛かってしまったとのことで、翌日に開業整形外科を受診されました。装具の上から伸縮性テーピングで固定をされ、2週間後の10月22日に再診を受けられ、担当医からマレットフィンガーは装具を強くしめないと駄目なんだと言われたそうです。
下記が当院来院時の外観です。
第2関節まで固定されており、第2関節が曲げられません!
この固定を6~8週間するのはとても危険です!
第1関節が屈曲しないように伸縮性テーピングを取ってみました。
装具のマジックベルトを取ってみました。
さすがに驚きましたが、私以上に患者さんも驚かれていました。可なりくい込んでいましたが、幸い第1関節の柔軟性が有る(可なり反る)患者さんで、こんなにくい込んでいたのに痛みは軽かったそうです。超音波バスの治療後はくい込んだ組織が大分戻っていたのでホッとしました。
本日、受傷から5週間と1日になりご自身での第1関節の伸展の維持が可能になりました。
ご自身で指を上肢台から浮かしていただいても第1関節は伸びています。
ここで伸筋腱が癒合したと思って、固定を全日除去してしまいますと、第一関節はまた屈曲してきます。
患者さんには来週の6週間目から自宅での入浴を許可して、徐々に屈伸運動をして頂きます。ですから、まだ全日のシーネ固定を継続しております。
尚、夜間固定は数ヶ月間必要で、日中も伸縮性テーピングで経過を観ます。
幸い患者さんは経過良好ですし、年齢的にもほぼ完治されると思います。東京から通院頂き申し訳ありませんが、もう暫く固定を辛抱して頂ければと思います。お大事に。
腱性マレットフィンガーに対する誤った固定や治療で、負傷されていない第2関節の機能まで、障害や可動域制限を来たしてしまう患者さんが後を絶ちません!
指は繊細な組織構造をしております。
解剖学に詳しい医師でさえも誤った固定をしてしまうのが現実です。
多忙な医師の日常外来では、痛みの少ない腱性マレットフィンガーは治療対象として重きを置く疾患ではありません。
整形外科の手の外科専門医を受診されますと骨性マレットフィンガーは手術も有りますので、治療対象疾患として重きを置いて診察・治療をしていただけます。しかし、腱性マレットフィンガーは治療成績が悪いことを告げられ、固定装具等での経過観察のみです。
また、大きな総合病院を受診しますと再診まで4週間~8週間と間隔が空き、次回の再診までの期間が長くなります。そのため、関節の拘縮による機能障害が起こりやすい傾向です。
これは一次医療機関である総合病院の役割やトリアージという重傷疾患に重きを置く医療行為の優先順位に関係しているとも言えます。
開業整形外科でも、装具等の「固定を絶対取らずに、2週間後に来院して下さい」と言われる方がほとんどです。
残念ながら開業整形外科でも腱性マレットフィンガーはあまり重きを置いて診られてはいない疾患と言わざるを得ません。(一部の医師を除きます)
40歳以下の腱性マレットフィンガーは概ね完治する疾患です。
40才~60才ぐらいの方でも適切な固定と固定期間及び早期からの物理療法を行なえば、8割以上の機能的改善が可能です。
腱性マレットフィンガーの患者さんでお困りの方は、受傷からの経過をメモ書きにしてお持ち頂ければ幸いです。特に予約は要りませんが、来院される日時を電話かメールでご連絡頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。
※ 尚、上記の方のように固定状態の不良による圧迫から、痛みが出ていたり、かゆみ等が有る場合や固定を取ったら、元のように第1関節が曲がってしまったという方は、一度お電話ください。来院されるまでの対処法をお伝えいたします。
腱性マレットフィンガー(伸筋腱断裂)で変形を残さない為に!
①適切な固定具(サイズ、材料)
②適切な固定期間(6~8週間)および夜間固定
③初期からの物理療法と手技療法
が患者さんのために施行されることを願います。
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急患応需
☎ 0467-45-6700
大船接骨院