HOME > スタッフブログ > マレットフィンガー > 2年前に腱性マレットフィンガーで加療した65才男性の経過
2021年08月01日|マレットフィンガー
令和1年5月9日に商品カートンへ右手薬指をぶつけてしまい右手第4指腱性
マレットフィンガー(マレット指)を負傷され、翌日から当院で治療された男性
(負傷当時63才)が、2年ぶりに首から上肢に至る痛みで来院されました。
下記が当院来院時、負傷翌日(令和1年5月10日)の外観です。
下記が当院治癒日 令和1年10月31日(負傷後176日)の外観です。
右手第4指DIP関節 伸展-3度 左手第4指DIP関節 伸展0度
右手第4指DIP関節 最大屈曲80度 左手第4指DIP関節 最大屈曲90度
わずかに屈曲制限が残っておりましたが、今後も改善されることをお伝えして
令和1年10月31日で治癒としました。
令和1年10月31日最終来院時
(負傷後176日:約6ヶ月間) 通院回数:21日
下記は令和3年6月15日(負傷から約2年1ヶ月)の来院時外観です。
右手第4指DIP関節 伸展0度 左手第4指DIP関節 伸展0度
右手第4指DIP関節 最大屈曲85度 左手第4指DIP関節 最大屈曲90度
約2年で屈曲制限がわずかになっていました。MP関節伸展位でも、右手第4
指の指先が充分に手掌へ着く状態まで改善されております。
正直なところ、年齢的にもう少し関節可動域制限は残存すると思っておりまし
たが、幸い関節の可動域が広く、ピアノ演奏などで指を繊細に使われることや
ピアノ演奏を再開したいという強い意欲もお持ちだったので、経過良く完治され
たのではないかと思います。
ご趣味のピアノ演奏や日常生活上も全く支障がないと言っていただき、とても
嬉しく思いました。
さて、腱性マレットフィンガーを負傷された患者さんが
総合病院や整形外科を受診された場合、担当医からは
「完治はしないし、治るか治らないかは5分5分ですね」
と言われた方がとても多い傾向です。
「以前、私もマレットフィンガーをしたけど治らなかったけれどね」
と担当医から治らなかった指を見せられた患者さんもおります。
年配者の方の場合ですと、
「治らないから固定もやめておきますか?」と言われた方がおり、
積極的に治療(固定)をしない先生もおります。
それは、ある程度の高齢になると若い方に比べ装具などによる長期間
の固定で、関節可動域の制限が生じてしまう可能性が高くなるからです。
⇒固定の圧迫で損傷した組織が圧壊されて、時にはPIP関節を含む固定
をしてしまうと、負傷されていないPIP関節にも関節拘縮を生じてしまい
浮腫や関節の可動域制限という後遺障害が残ってしまいます。
しかしながら、当院のように患部の固定のみにはせず、患部に対しての
物理療法(超音波バスによる温熱療法)等を同時に施行すれば、上記の
患者さんのように可動域制限はわずかしか残りません。
また、固定期間が短縮され、治療期間も短かくて済みます。
腱性マレットフィンガーは治らない疾患では有りません!
年齢により治療期間は異なりますが、腱性マレットフィンガーは、
適切な治療をすれば概ね完治または日常生活に支障の無い
関節可動域の改善が可能な疾患です。
《腱性マレットフィンガーの治療で重要な点は下記になります》
① 適切な固定具を使用する。
⇒負傷した患部を圧迫しない固定具を使用する。
当院では患者さんの指に合わせたプラスチックシーネを作成し、
固定期間中にはプラスチックシーネを洗浄してから再固定します。
② 適切な全日の固定期間を守る。(約6~8週間)
⇒時折、負傷から5週間ほどで第一関節が伸びたからと、固定具を除去
されてしまい、再屈曲してしまった患者さんを多数拝見しました。当院
では経過によって、4~6週間で入浴が可能になる固定具(プラスチック
シーネ)を使用し、概ね6週間目から夜間シーネ固定にしております。
③ 全日の固定除去後は再屈曲を防ぐために日中はテーピング固定を行う。
⇒来院される患者さんの多くは、6~8週間後の全日の固定後に夜間固定
を指示されますが、日中に手を頻繁に使用される職業の方の場合には、
日中のテーピング固定がないとDIP関節が再屈曲してしまいます。
当院では6週間の全日固定後でも、アクションテックスという低伸縮性
テーピングを日中に使用し、再屈曲を防止しています。DIP関節の伸展
の維持が安定してから日中のテーピングを除去しています。
④ 4~12週間以上の夜間固定。
⇒第一関節の伸展が安定するにはかなりの日数を要します。
第一関節の伸展の維持が安定するまでは、上記の期間は面倒でも
夜間固定を継続することが大切です。
⑤ 早期からの物理療法を施行。
⇒殆どの総合病院や整形外科では固定期間中の物理療法が有りません。
当院では負傷後の早期から下記の超音波バスによる物理療法を施行し、
浮腫を防ぎ、組織の修復を早めています。
固定期間が短縮され、DIP関節の屈伸制限の改善も早まります。
以上のことから、当院に負傷後の初期から通院された患者さんは、完治または
日常生活に支障のない関節可動域の改善に至っております。
現在、痛みを伴う装具等の圧迫固定により、治療期間の長期化や後遺障害で
お困りの患者さんが多数来院されております。(下記参照)
上記の2名の患者さんは何れも30代の男性です。固定具によって圧迫され
予後が不良となり、負傷後2ヶ月以上経過してから来院されました。
伸展は-10度以内に収まっても、屈曲制限が長期に渡って残り、大変お気の
毒です。
完治が可能な年齢であっても、初期の固定具の不具合(圧迫)により、治療が
長期に至ってしまい、後遺障害を残してしまう方が多数おられます。
負傷後、他医にて経過が不良な方であっても、再固定や物理療法などに
よって、可なりの改善が見込めます。
夏は固定が蒸れてしまい、かぶれ等で皮膚管理なども厳しい状況です。
当院では来院の際、負傷から初期の期間はプラスチックシーネと低伸縮性
テーピングを全て外して、患者さんの第一関節の伸展を維持した状態で
こちらが患部を丁寧に洗います。
患部の第一関節が屈曲しないように低伸縮性テーピングで固定をして、
負傷初期から超音波バスでの温熱療法(物理療法)を行っています。
当院ではマレットフィンガー(マレット指)に限らず、
四肢の外傷【手指・手首周辺の骨折、脱臼、捻挫(靭帯損傷)
腱損傷と足関節周辺の骨折、脱臼、捻挫(靭帯損傷)、筋断裂(肉離れ)】
交通事故(むち打ち等)、労働災害の患者さんが多く通院されております。
どうぞお気軽にご予約のうえ来院ください。
JR大船駅南改札(ルミネウイング側)
東口より徒歩1分
優先予約制(来院時または電話でご予約ください)
急患応需
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労災指定接骨院
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大船接骨院 院長 佐藤和義